日本のボーナス「10兆円減」
ボーナスの年間支給額は12年前の2005年の67.4万円にまだ届いていないようです。 |
『日本のボーナス「10兆円減」景気が良くなるはずがない』
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第一生命経済研究所の熊野英生氏に聞く
ボーナスの年間支給額は2015年が64.8万円(国税庁「民間給与実態統計」)でした。08年のリーマン・ショックで落ち込んだ後は少しずつ上がってきましたが、その10年前の05年の67.4万円にまだ届いていません。
日本全体で見たボーナス支給総額は、15年は31兆円で、ピーク時の1997年の41兆円から10兆円も落ち込んでいます。
一方で企業の利益は増えています。法人企業統計の全産業・全規模企業でみると、2016年度の経常利益はリーマン・ショックの08年度と比べて25%上回っています。にもかかわらず、ボーナスはほとんど増えていません。
【経済プレミア 配信(毎日新聞)】
結局、
企業の体質が変わっていることが利益の分配にも影響していると思われます。
つまり大企業がグローバル化したことが大きな変化の要因となっています。
グローバル化した企業はもはや国境を越え、仮に日本に本社のある企業であっても日本の企業ではないのです。
従来の企業は
国内を中心に活動していたため、国内で利益を得ると、それを国内の従業員に還元して規模を拡大してきました。
その結果、従業員の所得が増え、購買力が高まり、商品が売れて生産拡大へとつながり、国内を中心とした経済発展のサイクルが構成されていました。
ところが
貿易が盛んになると、これらの企業はグローバル化し、国外の人件費の安い国に工場を作り、高く売れる国に販売拠点を置くようになりました。
その結果、利益が上がっても、その企業の出身国である国内の雇用にはつながらず、むしろ人件費の安い国での雇用を促進して、その国の購買力を高めることになりました。
本来は
購買力と生産力は一定の関係(国)のもとで、まとまっていなければならないにも関わらず、バラバラに関わることになります。
つまり地球規模でのまとまりにはなってはいますが、人々の生活はあくまでも国単位であるため、グローバル企業は従来の「人の生活と経済発展(国内経済サイクル)」という枠組みから逸脱した存在ということになってしまっています。
従って
そのような企業に雇用を求めるのは難しく、徴税の在り方を変えて、その税金によって、国内経済サイクルで頑張っている非グローバル企業の雇用を促進する政策に転換する必要があります。
グローバル企業は最早、国内経済サイクルを逸脱した無秩序企業となっているので、その企業における地球合計での収入に対して徴税すべきものと考えます。
いわゆる
地球規模で「うまい汁」を吸い、世界経済の枠組みを混乱させているため、国内での対応(デフレ対応)が不可欠になった責任をとらせる意味で、より多くの税金を徴収すべきものだと思います。
この観点から考察しない限り、グローバル企業の暴走を制御できず、これらの企業の利益だけが積み上がり、やがては世界的な購買力が極めて低下し、経済サイクルは破綻するに違いありません。
そんなグローバル企業を見て、「企業が成長しなければ雇用は増えない」といった人がいましたが、現実がその指摘のいい加減さを証明しています。
雇用を増やすためには、
国内経済サイクルで頑張っている非グローバル企業が成長する必要があり、それを叶えるためには、グローバル企業の利益をそこに還元する仕組みを作る以外にありません。
政治家が国内の経済サイクルを重視するなら、まさにグローバル企業への対応を間違えないことだと思います。