遺伝子編集でイヌの筋ジス改善

遺伝性疾患「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」を発症したイヌの症状を、遺伝子編集技術を用いて改善させることに成功したとの研究結果が発表されたそうです。

『遺伝子編集でイヌの筋ジス改善、「治験への道開く」 国際研究』

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遺伝性疾患「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」を発症したイヌの症状を、遺伝子編集技術を用いて改善させることに成功したとの研究結果が発表された。筋力を低下させ、寿命を縮める疾患のDMDは、人の場合では、出生男児5000人に1人の割合で発症する。

国際研究チームが25日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表した論文によると、DMDを発症したイヌに治療を1回施したところ、症状が2年間抑えられたという。

大型哺乳動物の治療の成功は、人のDMD患者の治療法開発に向けた大きな一歩となる。研究チームは今回の成果を「ヒト臨床試験への道を開く」ものとしている。

研究チームは今回、イヌのジストロフィン発現を回復させるために、新しいタイプの遺伝子導入療法を開発。短縮型のジストロフィン遺伝子「マイクロジストロフィン」をDMDのイヌに注入した。

【AFPBB News 配信】

遺伝子に異常がある場合、

それを修復しなければその異常が繰り返されて、やがては大きな機能不全を引き起こすことは既に知られているところです。

今回は遺伝子編集によって修復された、新しい遺伝子を注入することで改善が確認できたとのことですが、その対象がイヌ(大型哺乳動物)であることから、ヒトへの臨床試験への道筋を示すものとして注目を集めています。

今日はこの遺伝子編集について少し調べてみました。

遺伝子編集といえば

「ゲノム編集」という言葉を連想する人も多いと思いますが、この「ゲノム編集」とは、遺伝子情報を自由自在に設計できる技術とされており、これについてもう少し詳しくみていきたいと思います。

この「ゲノム」という言葉ですが、これは全遺伝情報を示す言葉で、次のような構成全体を指すものとされています。

まず

DNA(デオキシリボ核酸)というものがあり、これは塩基や糖、リン酸からできており、一般的には2本鎖で二重らせん構造となっているもので、いわゆる遺伝子の本体とよばれています。

この中には、生物の遺伝的特徴を決める情報を持つそれぞれの「遺伝子」が含まれています。

そしてこのDNAがタンパク質と結合し、染色体をつくっています。

この染色体は

DNAが破壊されにくい構造となっており、またこの構造によって、細胞分裂の時に遺伝情報として染色体(遺伝子)がただしく分配されるようになるそうです。

以上みてきたように、「ゲノム」というのは、染色体・DNA・遺伝子という各構成からなる遺伝情報の総称 ということになります。

次は「ゲノム編集」についてみていきたいと思います。

現在までに

ヒトも含めた数千種類の生物について、ゲノム上の全ての塩基配列が解読されているとのことで、それによって異常の起きている塩基配列を特定することができます。

そのため異常のあるものを、正常なものに置き換えることができれば、細胞が修復されることになり、その分裂で増えた細胞によって機能は正常化することになります。

つまり

DNAの中から機能を止めたい塩基配列(遺伝子)を選び出し、指定された位置で切断する(ノックアウト)ことと、それが修復される際に、使って欲しい塩基配列(遺伝子)を挿入する(ノックイン)ことができれば良い訳で、それを可能にする技術が「ゲノム編集」ということになります。

具体的には、ノックアウトは、塩基配列を切断する人工酵素と核酸(ガイドRNA)を合成して細胞に加えることで行われ、ノックインは、人工酵素などと共に外部から別の遺伝子を細胞に加えておけば、修復時にそれが使われることで行われるそうです。

いわゆるガンというものは、

遺伝子情報の変異によっておこるものですから、これを修復した細胞を増殖して体に戻せば良い訳で、各分野におけるそれぞれの研究が進むことで、多くの不治の病といわれる病気も、必ず克服できるものと思われます。

日々、新しい技術が開発され、実用に向かって次々と導入されていますので、今病気で苦しんでいる皆さんも、希望を捨てずに完治する日を信じて、毎日を送っていただきたいと思います。

昨日よりも今日、今日よりも明日、日々可能性は高まっています。