NHK受信料、消費生活センターへの相談

全国の消費生活センターに寄せられたNHKの受信料徴収などの相談が10年間で5万5344件にのぼることが分かったそうです。

『NHK受信料、消費生活センターへの相談10年間で「5万5千件」…裁判記録から判明』

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NHKの受信料徴収などをめぐり、全国の消費生活センターに寄せられた相談が2007年度〜2016年度の10年間で5万5344件にのぼることが分かった。

(略)

件数は年々増加しており、2016年度は8472件あった。具体的な内容は50件しか記載されていないが、「強引に契約を結ばされた」「視聴していないのに、払わなくてはならないのか」といったものが多く見られた。

NHKは2019年からのネット同時配信を目指している。NHKの検討委員会が6月27日に発表した答申によると、テレビを持たない世帯(総世帯の約5%)のうち、ネット接続端末を所持し、視聴のための「何らかのアクション・手続き」をとった者に対し、受信料を求めることも検討するという。徴収の範囲・方法によっては、混乱・反発は必至で、今後、受信料制度の必要性を丁寧に説明することが求められそうだ。

【弁護士ドットコム 配信】

この受信料制度の歴史が

どのようなものであったか、ということについて少し調べてみました。

放送が始まった頃は受信設備を設置すると国から私設許可書をもらい、それに基づき日本放送協会(以降NHK)に聴取料を収めたそうです。

その目的は放送を公益性の高い事業にすることにあり、つまりは放送を「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する」ための事業に育てる、という狙いがあったものと思われます。

その結果、

放送事業は大日本帝国政府の一元的管理統制の元に置かれ、ラジオ放送は民間企業による放送局設立を排除し、NHKに独占させることになりました。

この後、第2次世界大戦が起こり、戦後はGHQにより、放送制度の民主化が進められ、これにより、民間企業による放送事業参入が認められるようになりました。

NHKに対しては、

「日本国政府・企業等の圧力に屈さない様、いかなる組織にも依存しない体制を築く必要がある」、との考え方から、放送の受益者より、その負担金を徴収する「受信料制度」が誕生したといわれています。

このような歴史を辿ってきたNHKの受信料制度ですが、今後の在り方についてどう考えるべきでしょうか。

こんにちでは、

「いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える」という公益性については、もはやNHKに頼る必要性はなくなっていると思います。

また「特定の勢力や団体に左右されない」という独立性については、民間企業と比較して考えると分かり易いと思いますが、企業からのコマーシャル料によって運営されている民放の報道が、特定の企業によって歪められる危険性については、ほとんど考え難いのではないでしょうか。

むしろ報道の自由は、政府による特定の法律に影響されることの方が多く、その点においはNHKも民放も同じ立場にあると思います。

現在、多くの民主主義国では、

価値基準と原則を明確にして道徳的良心を強化すると共に、特定の介入を防ぐために、業界で統一した倫理規定を自主的に設けており、日本でも「新聞倫理綱領」、「日本民間放送連盟放送基準」、「出版倫理綱領」、「雑誌編集倫理綱領」等、各業界ごとに倫理規範が設けられています。

これらを踏まえると、もはやNHKの受信料制度についての法的根拠は薄れ、いわば古い時代の副産物でしかないという考え方にも頷けます。

現在、

NHKを見たい人だけが受信料を払って見る、ということが技術的に可能になっていますので、古い法律を変えて、国民に選択させたらどうでしょうか。

時代が変わった今、少なくとも、「全く見てもいない人から受信料をとる」ということについては、改めて、それにふさわしい理由の提示が必要なのではないでしょうか。