ES細胞 医療用、作製へ

再生医療に使うためのヒトES細胞(胚性幹細胞)の作製が、厚生労働省の専門委員会で了承されたそうです。

『ES細胞 医療用、作製へ 京大申請、厚労省専門委も了承』

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再生医療に使うためのヒトES細胞(胚性幹細胞)の作製を申請していた京都大チームの計画について、厚生労働省の専門委員会は7日、大筋で了承した。作製に必要な文部科学省の了承も得られており、医療用ES細胞の作製が国内で初めて動き出す。

計画では、不妊治療で使わなくなった受精卵について、京都市内の医療機関から患者の同意を得たうえで提供を受ける。年内に1種類、10年間に約20種類のES細胞を作製するのが目標。

京都大は年度内にも国内の研究機関などにES細胞の提供を始める。

【毎日新聞 配信】

ES細胞という細胞については、

これまで聞いたことがない、という人も多いのではないでしょうか。

このES細胞は日本語では胚性幹細胞と呼ばれ、いわゆる胚(受精卵が6回程度分裂したとき)の状態の幹細胞ということで、胎盤以外であれば何にでもなれる「多能性」をもっているそうです。

「多能性」といえば、

すぐに思い出すのが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)ですが、これらは共に、さまざまな組織の細胞に成長させることができる細胞(万能細胞)で、再生医療や新薬の開発に利用できるといわれています。

ただ両者には作製過程の差により、それぞれの特徴があるようです。

iPS細胞は、

自分の皮膚などの細胞を分化(体細胞化)させ、その後初期化因子を導入(標的遺伝子の発現促進)し、未分化の状態に戻して作製するのに対し、ES細胞は、受精卵が6回程度卵割した後、その内部にある内部細胞塊を取り出し、それを培養して作製するそうです。

そのため、iPS細胞には拒絶反応の心配はないのですが、初期化の過程で癌化することがあり、またES細胞には拒絶反応の心配があるとのことです。

さらに

ES細胞もiPS細胞も倫理的な問題を内包しているといわれています。

ES細胞は人の受精卵(胚)から作製するため、そのまま子宮に戻すと胎児になるものを利用するという問題や、クローン人間の誕生という問題があり、iPS細胞についても精子や卵子を作製する場合には、クローン人間の誕生という問題に直面します。

いわゆる万能細胞であるため、その利用方法にはさまざまな規制が必要になると思いますが、人類の苦悩を取り除く再生医療の根幹を担う、大切な技術であることは明白ですので、これからも多くの技術者により、慎重に、かつ大胆に、技術的な発展がなされることを期待したいと思います。