石原氏「任せていた」

元東京都知事の石原氏が記者会見で豊洲問題について発言したとのことです。

『石原氏「任せていた」小池氏「無責任」 豊洲巡り応酬 』

「すべて任せていた」――。豊洲市場の移転をめぐる問題で3日に記者会見した元東京都知事、石原慎太郎氏は、重要な政策判断を部下や専門家の判断にほぼ委ねていたと強調した。小池百合子知事は「人の責任というのは簡単」として、石原氏の姿勢を疑問視。土壌汚染のある豊洲になぜ移転を決めたのか、真相解明は都議会百条委員会に持ち越された。

■用地取得の経緯

1999年に都知事に就任した石原氏だが、会見では着任前の95年時には、豊洲が有力な移転候補地として上がっていたと説明。「就任して早々、既定路線というような話を、担当の副知事から聞いた」と述べた。
(略)
会見では両者の交渉内容について質問が集中したが、石原氏は「(経過の)報告は受けていない」「小さなことにかまけていられない。部下を信頼し、一任していた」と強調した。

■汚染対策の負担

「なぜ土壌汚染対策費用を都が負うようになったのか」。小池氏は3日の都庁での定例記者会見で疑問を呈した。(略)
これについて石原氏は「専門的すぎて、交渉当事者に委ねるしかなかった」と弁明。
【日本経済新聞 配信】

石原氏の発言内容は、

ほとんどが、「専門的すぎて自分では判断できなかったので、交渉当事者に任せた」というものでした。

一方、都議会では、豊洲市場への移転を可決していますが、「土壌汚染対策の盛り土は実施される」という前提に基づいての可決だったようです。

現小池百合子東京都知事は、

豊洲市場で土壌汚染対策の盛り土が行われなかった問題にからみ、中西充副知事ら市場の歴代幹部計18人を減給の懲戒処分とすると発表しており、その処分理由については、『豊洲市場の整備方針に反する内容を必要な手続きを踏まずに決定し、都議会に事実と異なる説明を行ったこと』を、挙げているという報道がありましたので、都議会には正しい説明が行われていなかったということのようです。

つまり用地買収や土壌汚染対策については、都の交渉当事者が詳細を決定し、元石原東京都知事が、部下のいうことを信頼して判を押したが、実際の決定内容(事実)は、都議会に行った説明とは異なるものだった、ということになります。

ちなみに東京都が東京ガスから購入した価格は1,859億円で、それに土壌汚染対策費として849億円かかるとされており、東京都の出費は合計2,708億円になるとのことです。

問題点を整理すると、

専門家会議や技術会議が何度も開かれ、盛り土をするなどの安全対策が示され、それに則って進められるべきものが、実際にはその通りには行われなかった点にあります。

つまり都側の交渉当事者が、都議会に、盛り土をすると説明しているにも関わらず、一部行われていないところがあったということで、その決定が誰によって行われたのか、ということになります。

もう一つの視点としては、瑕疵担保責任上、東京ガスが土壌汚染対策を行うべきもので、それを何故東京都が行うことになったのか、ということがあります。

詳細を決定して

認可を仰いだ交渉当事者に非があるのか、了承した石原氏に非があるのか、ということに絞られてきますが、この点について石原氏は、了承したのは交渉当事者を信頼したからだ、と述べていることになります。

交渉当事者としては浜渦元副知事の名前が上がっていますが、『浜渦氏は、「石原氏も歴代の中央卸売市場長達も、盛り土が一部行われていないことは知っていた」と述べた』と、いった報道(週刊朝日の記事)もありました。

詳しいことは

この先に開かれる百条委員会で明らかになることを期待しますが、「詳細については覚えていない」という証言となることも考えられます。

また専門家会議や技術会議の提言については、必ずしも則る必要がなく、参考程度で良い、とする考え方もあり、さらには一部盛り土がなくても充分安全だと判断した、とする考え方もあり、非があることの証明も簡単ではないのかも知れません。

仮に石原氏や交渉当事者に非があったとしても、今後の対策費を同人に負担させるということは、金額的に難しいと思います。

今回の豊洲問題のように、

行政側の判断で実施した施策が、運用までに至らないということは、今後もあり得ることですし、また何故そのような決定がなされたか、ということを、後で知りたいということもあります。

多額の税金が使われることも多いので、そのような場合の対応策を早急に講じる必要がある、ということが、この豊洲問題により、改めて浮き彫りになったといえます。

今回は小池都知事の強い意志により、

問題の詳細が明らかになりつつありますが、直前の二人の元都知事のときには、何ら問題にもされませんでしたので、有権者が知らないところで、行われる予算の執行における闇は、たくさんあるものと推察されます。

それを透明化するということも含めて、当たり前のことですが、議事録の整備や、関係書類の開示を義務付けるなどの、対応策の策定と、何らかの違反があった場合の罰則を、東京都だけでなく、国レベルでも実施することを、国民の一人として、また有権者の一人として、強く要求し、実現を見守りたいと思います。